【医、命、遺、維、居】場所
「狭心症だって言われた。」






どれくらいの時間が経ったか、ポツリと巧が言った。







「いつ心筋梗塞を発症してもおかしくない状態らしい。過労だって言い張っていたことに違和感を覚えた約曲院長が、検査受けさせてくれたから分かったんだ。今日だって、約曲院長が嫌がる親父を無理矢理帰らせてくれた。俺を呼んだのは、治療を受けさせる為に説得して欲しかったからみたいだ。」







それでも弦沓さんは、担当患者を放ってはおけない性格。



プラス頑固なのも巧にばっちり受け継がれているから、似た者同士平行線で結論が出なかったんだね。







「家族を顧みない親父が大嫌いだったのに・・・」




「大嫌いでも大好きでしょ?」








ハッとした表情で私を見る。








「私も両親が大嫌いで、でも大好きだった。大嫌いだからといって、死んで欲しいなんて一度も思わなかったよ。巧もそういう感じじゃないの?」



「・・・ああ・・」







届きそうで届かない。
でも、手を伸ばすことだけは止めたくなくて。
でもでも、結局届きはしないと諦めが滲む。









だから。



執着の終着が見えなくなる前に。


何が大切か見誤る前に。



諦めるんじゃなくて。
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