お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「く、黒木さん!?」
「あら、十夜!
あなたも来たのね〜!!」
声がした方へ振り向くと、界さんをどす黒いオーラで睨みつける黒木さんの姿が。
「お前が連絡くれたんだろ。
つーか、なに美都に抱きつこうとしてんの。
離れろ」
界さんから遠ざけられた私は、そのままポスンと黒木さんの腕の中へ。
「今日弁当いらないって言ってたから不思議には思ってたけど。まさか、界と一緒だったとはね」
「もう、そんなに怒んないでよ十夜!!
美都ちゃんが可愛いから、ついっ!!」
「は?誰彼構わず抱きつこうとするその癖、いいかげん直せ」
「だって可愛いんだから仕方ないでしょ?」
「開き直ってんじゃねーよ、バカ」
ちょっ、ちょっ、ちょっと待って!?
どうしてここに黒木さんが!?
座っている状態とはいえ、胸の前に回された腕に頭も心も、ショート寸前。
黒木さんがここにいるのなんて、大学の食堂だから当たり前……って。
だからってどうして私、後ろから抱きしめられてるのーーっ!?
「で?美都が可愛いのは当たり前だからいいとして、なんで抱きつくことになるわけ?」
「んもう!!
別にいいじゃない、少しくらい!!
しつこい男は嫌われるわよ?」
「しつこくて結構。
独占欲強いとか、今更だし」
「うっわ!!
自分で言っちゃうとか、マジでタチ悪い!!」
「そうだけど?
つーか、女子と分かってても男の格好で美都の傍にいるの、見ててイライラする。まあ、そのおかげで?変なゴミ共がつかなくて済んでるから、礼は言っとく。八神お嬢様」
「え、界ってばほんとにこんなやつと仲良くしてんの?頭大丈夫?正気?てか、俺のことお嬢様って呼ぶの、まじでむり」
もうね、こんな会話が目の前で繰り広げられてるけど、ぜんっぜん頭に入ってこない。