お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「あの……」
「えっ?
あ、す、すみませんっ」
やばい。
あまりにかっこいいから見惚れちゃってた。
「そ、それでコスプレイケメ……
いえ。それで、私に何かご用でしょうか?」
危ない。
コスプレイケメンとか、変なあだ名で呼ぶところだった。
ゴホンと咳払いをして聞くと、目の前の人は胸に手を当て、恭しく頭を下げた。
「はじめまして、お嬢様」
「はい?」
お嬢、様……?
私が?
今死のうとしていた、この私が?
お嬢様?
いやいや。
うちは普通の一般家庭。
決してお嬢様なんかじゃない。
そんな話、聞いたことがない。
「間違いなんかではございません。
村上 美都様」