お嬢様、今夜も溺愛いたします。

「えっ」


「来るべき時が来たら、教えます」


「えぇ〜」


そんな……


私は今、知りたいのに。

十夜さんは知っているのに、私は知らない。


それがなんだかむしゃくしゃして、聞き逃すものか!と抱きついた腕の力を強める。


「っ……」


「どうします十夜さん。
このままだとお屋敷に帰れませんよ?」


クールな表情を崩し、珍しくうろたえている。

なぜか視線は合わないし、口元に手をあててるし。


自分から抱きつくなんてハードル高かったけど、どうしても知りたかった。


十夜さんといるときに感じる、安心感や居心地のよさ。

もしかしたら、いつかの過去に出会ったことが関係してるんじゃないかって。


十夜さんがもっと私のことを知りたいって思ってくれたように、私も十夜さんのことを知りたい。

そう思ったから。


「……本当はお嬢様本人に思い出してほしいのに」


「なにか言いました?」


「いえ、なにも。
私が教えるまで、本当に離さないおつもりなのですか」


「はい!
もちろんです」


ゴホンと咳払いをした十夜さんは、頷いた私の後頭部と腰に手を回す。


「これでもですか?」


「なにをされようが、私は離れる気は───」


いきなり、だった。


「っ!?」
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