お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「お嬢様。
私はお嬢様がバイトで入られる際には常にお傍にいるつもりですので、ご安心を」
「は、はい……」
まだ裏で制服にブツブツ言ってる紗姫の傍から離れ、花たちを見ていた私の元へ来た十夜さん。
「ここならば私の目が届きます。ゴミ共が私のお嬢様に近づくことはありませんから」
紗姫が言ってたのはそういうこと?
部活だったら、私が別の男の子と関わるかもしれないっていう心配。
「なによりも……」
「とっ、十夜さ……」
「こうして人の目を盗んでイチャイチャできますしね?」
「っ……」
横から肩を抱かれ、ふわっと私の頬にキスを落とす。
「さ、紗姫に見られます!」
「別にいいじゃないですか。
八神様はお嬢様のご友人です。
恥ずかしいことなどありませんよ」
「そういうことじゃなくて!」
普通友達のこんなところ、見たくないと思うんだけど……
私なら他人がこうしてるのを見るのも恥ずかしいのに、それが知り合い、ましてや友達だったら尚更恥ずかしい。
「ふふっ、恥ずかしがる姿もとびきりかわいい。
ずっとこうしていたいくらいです」
「こっ、ここでは店長さんなんですよ!
従業員にセクハラはやめてくださいっ!」
「セクハラ……
お嬢様の気持ちが私に向いていたとしても?」
「っ!」
唇に人差し指を当て、意地悪そうに笑う十夜さん。
ボンっと顔が熱くなって、心臓がドキドキ高鳴る。
この表情、ほんとに弱い……。
「さすがの十夜も、お嬢様の前ではデレデレなようだな」