お嬢様、今夜も溺愛いたします。
冷たく、ぶるっと鳥肌が立ちそうなほど低い声。
「美都お前……昨日あの男となにしてた?」
虚ろな目で、明るい店内には不釣り合いなほど黒いオーラ。
「なにしに来た」
今はちょうど十夜さんも一色さんも出払ってていない。
私を庇うかのように紗姫が一歩前に出る。
「帰れ。今すぐここから出ていけ」
強く圧をかけた紗姫の言い草に、ただ男はブツブツ何かを呟くだけ。
「美都さぁ、俺って男がいるのに、昨日ここであの黒髪とキスしてたよね?ねぇ、どういうこと?」
目は血走っているのに、口だけは笑っている。
左右に頭を揺らすその姿に、この人は普通じゃない、おかしいと脳が警鐘を鳴らす。