お嬢様、今夜も溺愛いたします。


冷たく、ぶるっと鳥肌が立ちそうなほど低い声。


「美都お前……昨日あの男となにしてた?」


虚ろな目で、明るい店内には不釣り合いなほど黒いオーラ。


「なにしに来た」


今はちょうど十夜さんも一色さんも出払ってていない。


私を庇うかのように紗姫が一歩前に出る。


「帰れ。今すぐここから出ていけ」


強く圧をかけた紗姫の言い草に、ただ男はブツブツ何かを呟くだけ。


「美都さぁ、俺って男がいるのに、昨日ここであの黒髪とキスしてたよね?ねぇ、どういうこと?」


目は血走っているのに、口だけは笑っている。

左右に頭を揺らすその姿に、この人は普通じゃない、おかしいと脳が警鐘を鳴らす。

< 317 / 353 >

この作品をシェア

pagetop