お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「俺はこんなに好きなのに。美都を思ってるのに。どうして美都は俺の方を見てくんないの?どうしてあいつばかり見てるの?」


早口でわけの分からないことを言い出す。

恐怖で体が震えて、声が出ない。


「俺の気持ちを受け取らないんだったら、もういいよ。全部、壊すだけ」


「お前、なにを……っ」


紗姫が掠れた声で呟いた瞬間だった。


「全部ぶっ壊してやるっ!!」


「やめてっ!!」


きらりと光ったはさみが見えた時はもう遅かった。

お店中の花が、植物がはさみによって切り取られていく。


ポトポトと下に花が落ちて、みすみるうちにに色をなくしていく。


「これで店もおしまい」


「やめ、て……っ」


「俺を拒絶したばつだから」


「やめて……っ」


これ以上お花を傷つけないで。

お父さんとお母さんが大事にしてきたこのお店をぐちゃぐちゃにしないで。


花を、私の生きる希望をこれ以上殺さないでっ……


「もうやめてっ!!」


涙がぽろぽろと零れる中、もう必死だった。

ただとめたくて。


大事なお花たちを傷つけるこの人をとめたくて。


はさみを奪おうとしただけなのに。



「こんっの、邪魔なんだよっ!!」


「っ!!」


大きく振りかぶったはさみが顔のすぐ目の前で光った瞬間。


「お嬢様っ!!」


あたたかくて安心する、大好きなそのぬくもりに包まれていた。

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