お嬢様、今夜も溺愛いたします。
──────────


「では、先生。お嬢様のこと、何卒よろしくお願い致します」


「はい。村上様のことはお任せ下さいませ」


「ではお嬢様。
放課後、エントランスでお待ちしております」


「どうも……」



職員室で先生に挨拶した後、いつもの一礼をし、去っていった黒木さん。


途端に肩からどっと力が抜ける。



はぁ……

朝からめちゃくちゃ疲れた……


身の回りのことや、困った時に力になってくれるのが執事のはずなのに、これじゃいない方がマシなのでは……


深くため息をついていると、先生が歩き出した。



「では村上様。教室の方に参りましょうか」


「あっ、はい。よろしくお願いします」



村上様って……


なに?


先生が、生徒に“様”って……


そんな学校、日本中探しても絶対ここしかないと思う。


それに、さっきエントランスって黒木さんは言ってたけど……


普通の高校だったら、玄関だよね?


でもこの学校は、次元が違いすぎる箇所ばかり。



階段代わりにエレベーター。


校舎に入るには、大きな自動ドアを通り、学生証を機械にかざして、本人と認証されない限り入れない。


加えて、執事の顔認証。


それも生徒と同様、本人確認されないと入れない。


さすが、資産家の子供が来てるだけあって、警備は厳重。


万が一のことも考えて、部外者が入れないようになっているらしい。



学校に入るだけなのに、本人確認て……


聞いたことないんですけど……


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