片思い終着駅


「そっか。じゃあ、これから教えてあげる。」

そう言って先輩はわたしの手を引いて、図書館から出た。

わたしの前を歩いている先輩からは、いい香り。そして握られた手はとても温かい。

夏が近づいている風が、先輩の髪を揺らす。

幸い周りには人がいなかったため、騒がれることがなかった。


先輩に連れられてきたのは、小さな中庭だった。

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