蘇らせ屋のボクとヒトゴロシのキミ

翔平がここにいたことに驚いて気が付かなかったけれど、それは確かに依頼者の尾崎さんで間違いないようだった。


黒くてツバの大きな帽子を被っているとメール連絡で来ていたのを思い出す。


「翔平が隣にいたんじゃ話かけれない」


「でも、もう時間だよ」


スマホに視線を落とすと、待ち合わせ時間まであと3分を切っている。


一旦知らん顔をして駅から出ようか。


思案していると翔平がその女性へ話しかける姿がうかがわれた。


2人は知り合いのようだ。


「もうすぐ来ると思うんですけど……」


翔平のそんな声がここまで聞こえて来る。


もしかしたら、蘇らせ屋を頼んだのは尾崎さんではなく翔平の方だったのかもしれない。


でも、どうして尾崎さんと翔平に繋がりが？


わからない疑問がグルグルと頭の中を回っている。