プロポーズは突然に。
馬鹿な発言をしたのは私。
その結果彼を受け入れたのも私。
冷たいはずの彼から温もりを感じたのも…私。
それはちゃんと理解しているつもりなんだ。
でもどう考えたってこんな生活私には向いていない。
―――やっぱりあの家を出よう。
暫くカプセルホテルにでも泊まって、新しく住む部屋を探して彼から離れるんだ。
まだたった一回。今なら…離れられる。
「手を離してください」
「車に乗っていただけるのですか?」
「いえ、乗りません」
「困ります」
まさに鼬ごっこ、どちらも譲らない。そんな状況だ。
ただ車に乗るだけだと言われればたしかにそうなんだけど、日下さんの必死さを見ていると何かあるんじゃないかと疑念を抱いてしまうんだ。
掴んだ手をいつまでも離してくれない日下さんと、そんな状況からさっさと逃げ出したい私。
後ろにいる日下さんを見据えながら話をするも、結局鼬ごっこになって途方に暮れていた時―――