プロポーズは突然に。
「日下、逃げられない内に早く」
「は、はい」
そのやりとりの後すぐに耳に入ってきたのは扉が閉まるバタンッという音、そして車が発進する音だった。
…………なにこれ?
一瞬の出来事に私の頭は着いていかない。
当然のように私の隣に座る男に視線を向けてみれば、ニコッと愛想良く微笑んでいる。
「ごめんね?女の子に乱暴なことするのは嫌いなんだけど」
「あなた誰なんですか?どうしてこんなこと…」
「副社長命令なの。俺はそれに従うのみ」
「副社長命令………?」
この人、ロッソ・ピウマの人間ってこと…?
よく見ればたしかに身形もキチンとしているし、高そうなスーツも着ている。
…この人もセレブか。