プロポーズは突然に。
「…」
「…」
食卓には暫し沈黙が流れ、彼と私の視線は目の前の料理に注がれている。
ローストビーフを筆頭に、ポトフ、カプレーゼ、ボロネーゼ、シーザーサラダ…等諸々。
ダイニングテーブルに並べたのは私なりのご馳走達。
だけど、生まれながらのセレブである彼にとっては…
きっとこんな食事、豪華でもなんでもない。
「どういう風の吹き回しだ?」
「…別に」
「分かった。あれか?最後の晩餐」
「は?」
「俺に餌付けして安心させた上で逃亡。俺は死に物狂いでおまえを捜し出し、おまえは逃げ出した罰で俺の腕の中で処刑。よってこれが最後の晩餐」
「やめてよ、縁起でもない…」
「じゃあなんでだよ?」
私は他人のために何かをするのは大嫌いなんだ。
人の喜ぶ顔が見たいとか、そんな健気な人間でもない。