プロポーズは突然に。
「眠…」
食器の後片付けとシャワーを終えると、一気に押し寄せてきたのは睡魔だった。
…柄にもなく他人のために料理とかしたからかな。
眠たい目を擦りながらも、まだ仕事を続ける彼に先に眠ることを伝えようとリビングに戻る。
カウンターテーブルでパソコンを打ち込む彼の横に立てば、その漆黒の瞳は私へとゆっくり向けられた。
「寝るのか?」
「うん。おやすみ」
「…待って、もうちょいで終わるから、」
彼の視線は再びパソコンの画面へと戻り、カタカタという音が加速するように響く。
彼が左手に持っている書類に視線を落とせば、そこには日本語ではない文章が長々と綴られていて。
更によく見れば彼がまさに今、カタカタと打ち込んでいる文章も何処か別の国の言葉で…正直少しだけ眠気がとれた気がした。
同じ美容業界とはいえ、彼の仕事は私には到底分からないようなものばかりで。
それでも、彼が要領よく且つ迅速に仕事をする人なんだということだけは分かる。
相変わらず洗練された無駄のない動き。私はそれにただただ目を奪われていた。