プロポーズは突然に。




「そんなに行きたいのか?」

「もちろん行きたいよ。そのために来たんだし」




私の返答に彼は一瞬険しい表情を見せたものの、すぐに冷静な顔に戻り、ハァ…、と息を吐いて私の後ろに立つ。

それも、扉が開かないようにするためか、重ねるように私の手を握りながら。

そんな理解不能な行動にまた戸惑い、咄嗟に顔を前へと戻していた。




「だったらせめて浴衣は置いていけ」

「…どうして?」

「他の奴におまえの浴衣姿見せたくない」

「…っ、」




私の耳元に降ってきたのは予想外の言葉で…心が揺さぶられた。

一瞬で顔中が熱くなったような気がして、前を向いていて良かったと心から思った。





「…馬鹿みたい。そういうの面倒くさい」




その顔を絶対見られたくなくて、またくすぐったくなった気持ちをどうしても隠したくて。

そんな理由でこんな態度を取ってしまう私は本当に可愛くない。


< 231 / 370 >

この作品をシェア

pagetop