プロポーズは突然に。




温泉は本当に最高だった。


定番のジェットバスから初めて体験する寝湯、そして数種類のサウナも制覇し、さらには岩盤浴に垢擦り、マッサージまで余すところなく堪能した。


満足して時計に目をやれば既に二時間以上が経っていて。一人行動は好きなように時間が使えていい、なんてしみじみ思った。


少し気まずさはあるけど…もうすぐ夕飯だし。


一人の心地良さとはお別れして、憂鬱な気持ちを抱えながら部屋へと戻った。


……手に浴衣と帯をギュッと持ったまま。








ゆっくり部屋の扉を開けると、ちょうど真正面に見えた浴衣姿の彼。

濡れた髪をタオルで拭くのを見て、彼も温泉に入ったんだ、と理解する。

普段着のままソーッと部屋に入った私に気付いた彼は、ふっ、と口元を綻ばせた。




「可愛い奴」

「…煩いな。たまたま着忘れただけだし」




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