プロポーズは突然に。
『大切な人と一緒にいられることは当たり前なんかじゃない。奇跡なんだ』
『…』
『当たり前のことにこそ感謝して…幸せになってほしい』
その時、父は初めて私を抱きしめてくれた。
とても温かくて…優しくて…
『もう…桃華には会えないと思う』
『え…?』
『お母さんの借金はお父さんが全部返すから…許してほしい』
『…』
『何もしてやれなくてごめんな…』
けれど、やっぱり…父は優しさと同じくらいに残酷な人だった。
私を抱きしめてくれていた腕を離されると……
父はまた背中を向けて去って行った。