秘密の恋は1年後
真昼間からなにをしているのやらと、頭の片隅でギリギリ冷静を保っている自分が呟く。
組み敷いた彼女は、窓から入る五月の外光に薄く照らされ、恥ずかしそうに顔を背けている。
その小さな顎に指を引っかけて、強引に自分と対峙させた。
「なにを考えてる?」
赤く染めた顔を隠す術をなくした彼女は黙ったまま俺を見つめ、また目を逸らす。
「そうだ。あの小説ってまだ読んでるのか?」
「……はい」
純粋そうな彼女の隠された趣味を、ふと思い出した。
まさか、あんな過激な小説を好んでいるなんて驚きだったし、試しに読んでみたと言ったら顔を青くさせて飛びかかってきたのだ。
言葉少なに返事をした彼女の小さな耳にキスを落とし、耳介をなぞるように舌先を這わせる。
すると、鼻にかかったような甘い声を漏らした彼女は、ますます顔を火照らせた。