秘密の恋は1年後

 帰りに寄ったスーパーで買ったミルクコーヒー味のアイスを食べながら、料理の腕を上げるためにレシピを検索する。
 今日までに作った中で、彼が特に気に入ってくれたのは、豚の生姜焼きとビーフカレー、焼き餃子、半熟卵のオムライス……。
 魚料理を出すと、食べてくれるものの褒められたことはなく、どうしたら合格点がもらえるのか試行錯誤中だ。


 彼は今のままでいいと言ってくれたけれどそうはいかない。
 常に向上心は持っていたいし、日々のすべてが彼で埋め尽くされてしまうのは違うはず。一緒にいたいと思うのと彼の存在を必要に感じるのは別の話で、依存だけはしたくないと思うから。

 なので、本当はこういう隙間時間に小説を読みたいけれど、どんなことでも前向きに、自分が納得できる形で頑張った時のご褒美に取っておこう。


「ただいま」

 十九時半前に、尚斗さんが帰ってきた。
 スリッパの音を軽快に鳴らしながらリビングを出て、靴を脱いだばかりの彼を出迎える。

< 189 / 346 >

この作品をシェア

pagetop