秘密の恋は1年後

「いらっしゃい」

 出迎えてくれた結衣さんは今日もとても朗らかだ。


「すみません、都合を合わせてもらって」
「すごく楽しみにしてましたよ。どうぞ、お上がりください」

 ダイニングチェアに通勤バッグを置かせてもらうと、彼女はエプロンを用意してくれた。


「少しお茶でも飲んでゆっくりしてから、料理しましょう」
「あ、その前に、こちらをどうぞ」
「いいんですか!? わぁ、なんだろう」

 昨夜焼いたマフィンを入れた紙袋を渡したら、結衣さんはパッと華やいだ笑顔を見せた。
 年下の私から見てもかわいいと思ってしまうほどで、たぶん、愛斗さんはこういうところにも惹かれたんだろう。純粋で素直で、でもしっかりしてるところもあって……。


「ヨーグルトマフィンです。甘さ控えめなんですけど、よかったらご主人と召し上がってください」
「尚斗さんにも作ってあげてくださいね。妬かれちゃいそうだから」

 どうやら結衣さんは、尚斗さんが嫉妬するタイプだと思っているようだ。
 なにはともあれ、あとはポテサラの極意を聞いて、愛斗さんの帰宅前にお暇しなくちゃ。

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