秘密の恋は1年後
「ポテサラあるじゃん」
「もちろんです」
ペットボトルのお茶で、ビールを飲んでいる尚斗さんと乾杯する。
空腹だったようで、すぐに作ってきた料理に手を伸ばした彼は、美味しいと言ってくれた。
「尚斗さん、聞きたいことがあるんですけど」
「ん?」
片頬を唐揚げで膨らませている彼が、モゴモゴしながら私を見つめた。
「私のどこが好きなんですか?」
「っ!!」
男の子に聞かれた時と同じように、動揺を隠せない彼が次第に耳を赤く染めていく。
「そんなん聞いてどうすんだよ。面白くもなんともないだろ」
素っ気ない返事に、やっぱり言ってくれないかと諦める。
今の私を好いてくれていても、もっと具体的に、どこをどんなふうに好きになってくれたのか知りたかったんだけどなぁ。
また機会を改めようと思っていたら、彼に奪われたままだったカンカン帽が頭に乗った。
「こんな俺を好きでいてくれるところ」
唐突に告げた尚斗さんは、またしても照れくさそうにしながら顔を背け、缶ビールの残りを一気に煽った。