秘密の恋は1年後

 夕食は庭でバーベキューをすることになった。
 男性陣は、椅子やテーブルなどを準備する力仕事を協力して進めてくれて、私は下ごしらえが済んだ食材や、出来上がっている食事を運ぶ。


「うん、相変わらず絶品」
「あ、ダメですよ、尚斗さん!」

 結衣さんお手製の山盛りポテトサラダに手をつけた尚斗さんが怒られている。
 その傍らで、愛斗さんは手慣れた様子で火を熾し、虫よけ対策まで万全にしてくれて、バーベキューを楽しむ準備をほぼ済ませてくれた。


「つまみ食いしてないで、お前も少しは動けよ」
「そういうのは兄貴に任せる主義」

 兄弟の言い合いを結衣さんと眺め、揃って小さく笑いながら目を合わせる。


「麻生さん、まひるちゃんって呼んでもいいですか?」
「もちろんです!」
「ふふふっ。妹ができたみたいで嬉しくて。……あ、みたいじゃないんだった。そうなるんだもんね」

 恥ずかして俯いていると、尚斗さんがいち早く椅子に座ってしまい、また愛斗さんに怒られていた。

< 292 / 346 >

この作品をシェア

pagetop