クールな社長の耽溺ジェラシー
「いいです、嬉しいですよ。おいしいって言ってもらえて」
「じゃあ、これから感想がそれしか出てこなくても勘弁してくれよ」
これから――それは未来を意識させる。
そういえば、なんとなく新野さんの部屋に来てしまった。もう正司さんとの勝負は勝ったし、新野さんが気にしていたけじめはついていて、私も心の準備ができている。
これって、もしかして今夜――。
「……つ? 小夏?」
「えっ、わ、はい!? っ、きゃ……!」
あらぬ妄想をしてしまっていると呼びかけられ、驚いた拍子にお皿に手が当たり、テーブルのお茶を倒してしまった。
「ご、ごめんなさい! すぐ拭きます」
「いや、いい。それより火傷は? 大丈夫か?」
素早く立ちあがった新野さんは私の手を確認してくれる。
「はい。全然、お茶に触っていないので」
「そうか、よかった」
胸をなでおろすと、キッチンへ向かい布巾を持ってきて、テーブルを拭いてくれる。
私、なにやってるんだろう。舞いあがりすぎてる。こんなんじゃ、新野さんに子どもっぽいって幻滅されたっておかしくない。
「すみません、私……」
うなだれると、お茶を淹れ直してくれた新野さんが頭をくしゃくしゃとなでてくれた。
「これくらい気にするな」
「新野さん……」
「それより食おう。早くしないとひとりで全部食いそうだ」
「はいっ」
新野さんの優しさに笑顔を取り戻すと、私も箸を進めた。
それから食後の片づけをふたりでしていると、ポケットに入れていたスマホから着信音が聞こえてきた。
「小夏、変わる」
「ありがとうございます」
食器を拭いていたのを代わってもらい、スマホを取りだす。画面に表示されていたのは――。