クールな社長の耽溺ジェラシー


「あ、そう。なら、僕は失礼するよ」

酔っぱらいのように体を揺らすと、新野さんに近づいて声を潜める。

「あまり、高塔さんに知恵をつけないでね」

私に聞こえていないと思っているのか。それとも、聞こえても問題ないと思っているのか。

しっかりと耳に届いた言葉に、背筋がぞくりと冷える。

「っ、まさか……っ!」

新野さんが鋭く睨みつけると、その視線を交わすかのように歩きだし、すぐに人波に紛れる。

その姿が見えなくなっても、しばらく新野さんは去った方向を睨み続けていた。

「新野さん……あの、ありがとうございます」

怖い顔をしたままの新野さんに声をかけると、つりあがっていた眉が少しだけさがった。

「なにもしてない」
「今の、私のために怒ってくれましたよね?」

私が新野さんの二の舞になることを心配して、守ろうとしてくれたんだと感じた。

誰かに守られるなんて初めてで、気恥ずかしさと嬉しさで胸がくすぐったい。

「……それは、まぁ……」

珍しく歯切れの悪い新野さんは、気まずそうに首裏をかいた。

「小夏が考えた設計を、ほかのやつに奪われたらたまらないからな。そういう感じだっただろ、今の正司さん」
「はい……」

また同じことを繰り返すつもりなのだろうか。胸がもやもやと重たくなっていく。

「小夏、飯でも行かないか? 気分転換したほうがいい」
「そう、ですね……じゃあ、行きます」

新野さんの誘いにうなずくと素早くタクシーを停め、とあるレストランの名前を告げた。


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