生徒だけど寮母やります!3






「たたた大変だ〜っ!」と、まるで昭和の漫画のように咲夜が慌てて寮に帰ってきたのは、それから30分後のことである




「おひゃえぃ。にゃにごと?」


共同リビングのダイニングテーブルにてスルメイカをかじりながら勉強していたらしい市河は、椅子に座ったままくるりと振り返る



向かいに座っていたライもペンを動かす手を止め、咲夜に鋭い視線を向けた


「.....なに」

「さっきジョギング中に佐原と藤原に会ってさ、2週間ここで生活する奴のこと聞いたんだ」



佐原と藤原とは

小高家突撃隊の発端とも言える、妖術科の愉快な仲間達である

残念なことに今年はクラスが離れてしまったが、昨年度は咲夜、市河、爽馬のクラスメートであった




市河は咲夜に続いて寮に帰還した結斗と爽馬に片手を上げながら

「あぁ、景が連れてくるって出て行った.....?」

とわずかに首をかしげる




それの何が大変なのか


「どうやら来るのはアイオイらしいんだ。 しかも謹慎で」

2人が問うよりも早く、咲夜が言った



「へ、アイオイ.....って、相生深一?」

「そうそう」

「あの人なんかしたの?」


市河と咲夜のやりとりに、ライが「誰?」と口を挟む



「去年の俺たちのクラスメートなんだけど」


言ってから市河はスルメイカをもう一つ口に放り投げると、ふむー、と唸った

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