生徒だけど寮母やります!3






「あーあ、景行っちゃったし。どうするよ?みんな、何して遊ぶ?」


景が忙しなく男子寮Bから出て行った後、空になったコーヒーカップをクリクリと両掌で転がしながら咲夜が唸る


満宵以外の1年生は朝早く寮から出て行ってしまったし、ここにいるのは昨日までの2週間と変わらず男だけだ



「遊ばないけど。テスト勉強しろよ」


先程までの景への態度とはうって変わって、ライが椅子から立ち上がりながら厳しい言葉を投げかけると、咲夜は心臓を抑えつつ「正論は人を傷つけるんだぞ」と訴えた


確かに夏休み明けには課題テストが待ち受けている


高校生二年生にとって一回一回のテストは大切


担任との面接にも大きく影響するのだ




「とはいえこの中でいつも一番テスト結果が良いのは咲夜なのが悔しいところなんだけどね」


言いつつ大して悔しそうではない結斗は、咲夜の手の内にあったカップを取る


「ついでに流しに下げてきてあげる」

「あ、さんきゅ、結斗」


自分の分の皿と合わせ咲夜のカップを寮母用キッチンに下げた結斗は、再び共同リビングに戻ってくると

「天気いいし、みんなでジョギングでも行こうよ」

と、窓の外を見ながら提案した



「適度な運動は脳を活性化させるって言うし。ライは夜派だっけ?」


「そうだな.....俺は夜走るからパスで」


「じゃー俺行こうかな。爽馬も行こうよ」


寮に戻ってきてわずか2週間である爽馬も是非にと咲夜が誘うと、爽馬は相変わらず表情を変えぬままコクリと頷く



「.....行く」

「そか、いってらっしゃい。俺もミヨちゃんが心配だし残ってるから」


市河はライと一緒に留守番



「ありがと、いっちー。ライも、ミヨちゃんのこと頼んだ」


結斗は笑顔を作って片手をあげる


ライが「はいはい」と承諾すると、市河も「了解」とひらひら手を振った

< 2 / 115 >

この作品をシェア

pagetop