生徒だけど寮母やります!3
仲良くなります!
LOS会場となっているグラウンドから200メートルほど離れた場所にて
2人の男子生徒が、なにやら急ぎ足でどこかへ向かって歩いている
そのうちの1人が、不機嫌そうな表情でため息をついた
「まったく......瀧居さん、急に男子寮Bに行って笠上さんに会ってこいなんて......。自分で行けよォォ、あーもー!」
先輩に対する文句を爆発させている彼の肩を、もう1人の男子生徒が優しくポンと叩く
「現役(役員)だった頃から、俺ら後輩のことコキ使いすぎだよな」
「な〜。でもなんで笠上さんに会いに行けなんて......」
「さあ?でもま、笠上さんの不在を確認できれば報酬が貰えるみたいだし、いませんよ〜に!」
「その報酬ってのも瀧居先輩が個人的にくれるっていうし、なんか怪しいけどな。よし、ついたぞ」
意地の悪い先輩と報酬の間で揺れているうちに、目的地に着いた彼らは立ち止まる
煉瓦造りのその建物は一見、大きな屋敷のようでもあるが
その正体は現在、両手で数えられるほどの男子生徒が生活している男子寮Bである
彼らはおそるおそる、そのドアノブをガチャリと開けた
「あのー......すみませーん。笠上さーん」
返事はない
この寮に所属しない彼らにとって、男子寮Aのように入ることは躊躇われた
「もう一度呼ぶか?」
「......ああ」
「「笠上さーん......」」
再びそう呼びかけると、中からはなんとも可愛らしい顔立ちの生徒が顔を出した
「はーい!だれーっ?」
「え......女子生徒......じゃないか。お前男か」
「うん」
「おたくの寮母さんいる?」
そう聞くと、彼は不思議そうな顔をする
「景ちゃんのこと......?」
「そう、あーいないなら良いんだけど!いないんだ?」
つい報酬に目がくらみ、いないという答えに期待する男子生徒
しかしその時
「どうしたのミヨちゃん、誰か来た?」
後ろから
笠上景が出てきたのだった