ダブル~私が選ぶのはどっち~
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その後は何ともバタバタだった。

仕事の引継ぎ、引っ越し、そして入籍。

さすがに結婚式までは手が回らず、両家の挨拶どまりになる。

慎の御両親は慎から私の事を聞いて、当然驚いた。

慎が大学受験の時に教わっていた家庭教師と結婚するなんて想像もしていないだろう。

しかもそれから8年も経った後で。

私の両親は30歳の娘が4歳年下の結婚相手を連れてきたことに大喜びだった。

まあ、いろんな思いが交錯したが、結局はバタバタの勢いで、私達は入籍までこぎつけた。

明日から新しい支社に出勤という夜。

「慎、名前どうしよう。」

私は夕食を作りながら、慎に聞く。

「やっぱり私が旧姓を使った方が良いかな。」

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