ダブル~私が選ぶのはどっち~
9
1年後。

あの後、転勤の希望を出していた私は本社で営業をしている。

「おはようございます。」

私は自分のデスクに座る。

そして社内メールを確認する。

ここでは支店と違って、あんなに苦労していた事務仕事は総務部に書類を回せば良い。

私は営業活動だけに専念していた。

「吉川さん、気になっていたんですけど…。」

主に私の事務を担当してくれている石原さんが書類を取りに来た時だった。

「何?」

私は書類を渡しながら、石原さんを見る。

彼女の視線は私の首に向けられている。

「それは婚約指輪ですか?」

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