ダブル~私が選ぶのはどっち~
私は溜息をついた。

「吉川がやりにくくなると困ると思ってな、一応人事には手を回している。」

林主任がそんなに心配してくれている事に私は驚いた。

「吉川は優秀だ。だからこれ以上営業はこちらにいらないだろう?」

林主任はテーブルの上で手を組んだ。

「ありがとうございます。でも…。」

私はそんな林主任を正面から見た。

「草野主任には一度会って、ちゃんと話そうと思っています。その結果は私にも予想は出来ないですけど…。」

すると林主任は優しく笑いかけてくれた。

「そうだな。それも良いかもしれない。お互いがちゃんと納得できる結論が出ると良いな。」

「本当に林主任には感謝しています。私も遅ればせながら動いてみます。」

私は立ち上がると、林主任に頭を下げた。

< 97 / 193 >

この作品をシェア

pagetop