相沢!ベッピン鉄拳GIRL
骨の髄まで、いじめられっ子……。
思わぬ展開に助けられた、一年坊。
「あっ、ありがとうございますっ。
おかげさまでたす……、いてっ」

「ばっきゃろう、あっさり金取られてんじゃ
ねえよ。あんなクソども、遊ばせんな」
腹が立ってきて、つい脳天ゴツン。

カツアゲられ(回避)くん
ズレた眼鏡の奥が、涙目になっている。

「……今日は、いつもよりマシなくらいです。
……いつもはもっと長く殴られたり、万引き
させられたり、ナンパして来いって無茶言わ
れたり……」

うがああー‼
きーてて、イッライッラするううー。きー!

京子さん、ウンザリしながら、
「親はこれを……」

「知ってると思う……」
と、俺。
取り返した札を出す。

壱万五千円。

普通に持ち歩くにはちと多い。しかも、今の
話しぶりだと、カツアゲに渡し続けてる。

カツアゲられくん、ボロボロ涙流しながら、

「仕方ないんです。こうやって無理していく
しかないんです。先輩たちと僕は、住んでる
世界が違うんです」

バカじゃねえの?違うって何が?
「じゃ、おまえもこっちの世界に来い」

急に逆上する、カツアゲられ。

「簡単そうにいうな!」

さっきまでの緊張の糸が、キレたんだろう。
「……そんなの、無理です………」

だからあ、
「簡単じゃねえよ、簡単なわけねえだろ。
けど無理じゃねえ、来いや」

京子さんも、うんうんとうなずく。
「家の金盗んで、不良に渡すよか簡単と思う」
カツアゲられの肩をポンと叩いて、

「今まで良く頑張って貢いだな!」
と、力強く一言。声が嘲っている。

めっちゃ、イヤミ。
さすがに俺もこんな風には言えない。

さらに、頭をなでてやりつつ、
「アホさ加減ではヤツらと同輩だな」
追い打ち。京子さん容赦ない。

可哀想になったんで、
「帰れるか?一人で大丈夫か?」
聞くと、

「はい。これ以上ご迷惑かけられません。
……ありがとうございました」
と、ペコリとお辞儀して、歩いていく。

明日、学校で後輩らにコイツの事、聞こ。

俺達も戻ろうとして、何歩か歩いて振り
返ると、あやつ、他の不良に絡まれていた。

「………何で?」

今度はさすがに、話し合いで帰ってもらい、
(カツアゲの現行犯でないので。疲れるし)
じゃあな、と、離れたらまた絡まれていた。

そうやって、小学生や、園児にまで蹴りを
かまされていた。

「お前、何か変な電波出してない?」
呼び寄せ過ぎだろ、いじめっ子。

青ざめて、ぐったりしてるカツアゲられ。

「……送り届けてやろう。このままでは、
……おそらく帰り着くまい」
京子さんが、さっきと違ってマジで言う。

とにかく、帰り道をついて行った。
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