気がつけば・・・愛
「初恋はあゆみさんです
それも6歳の頃からだから・・・
29年も片想いしてるんです」

「うそ」

「ま、もちろん僕も男ですから
それなりに相手はいましたよ
大学生の頃は凄くモテましたから
相手に不自由したことはありません
ちゃんと相手には付き合えないことは
話してましたから‥割り切った関係って
言うんですかね。ま、軽蔑されそうですが
でも・・・心はいつもあゆみさんでした
仏門に入ってからは特にお見合いの話も多くて
断る為に[想い人がいます]と伝えてました
一生あゆみさんに会えなくとも
貫く想いに迷いはありませんでした
そうして‥再会した。。これって
運命ですよね?だから・・・道を外していることは承知の上で想いを伝えてしまいました。
あの‥バケツで水をかけられた日から
結ばれる運命だったんですよ」

良憲さんの腕の中で聞いた告白に
胸がいっぱいになる

年のことや子供のこと
小さな理由を盾にしようとした自分が
恥ずかしくて仕方ない

「返事は?」

「・・・ずっと側に置いて下さい」

「あゆみさん」
抱きしめる腕の力が強くなる

「ありがとう、あゆみさん」

「く、くるしい」

パッと腕を解かれて
呼吸が荒くなる

「大丈夫ですか?あ、
ごめんなさい、嬉しくて
加減がわからなくなった」

眉毛が下がった良憲さんを見上げて
大丈夫と頰に手を当てると
チュッと唇を重ねた





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