season

「初めまして、ナツの高校の数学の教師をしています、須賀と言います。」




春馬くんの部屋に入りみんなが座って、最初の一言目は、春馬くんの自己紹介だった。




「春馬くん、二人が私の幼なじみで…大貴と菜々子…です。」



私が紹介すると、菜々子がペコッと頭を下げた。



「は、初めまして…」



でも大貴は…




「夏海、何で平気で紹介できんだよ。それとも、ここで別れますって宣言でもしてくれるのか?」



「ちょっ…大貴っ。」



相変わらず怒っていて、菜々子に止められている。




そんな大貴を見て、春馬くんが言った。




「大貴くんの…言う通りだな。本当なら、ナツを思えば別れを選択しなければならない。教師の立場から“一生徒”としてナツを見守るのが、あるべき姿だと思う。」



その瞬間、もしかして…って思った私。




別れたくないって今朝話したけれど、初めから春馬くんは、大貴たちの前で別れ話を切り出すつもりだったんじゃ…




そう思っただけで、身体が震えて涙が溢れてきた。




「夏海、どうしたの…?」



菜々子が私の手を取り、心配そうに見つめる。



そんな私を見たあと、春馬くんは大貴を見て言った。




「俺はナツの笑顔が好きだ。いつでも笑っていてほしい。初めて会った時のナツは…今みたいにずっと悲しい表情ばかりだったから。ナツが笑ってられるように、側で…守りたいんだ。」


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