お見合いだけど、恋することからはじめよう

アクアシティのパーキングは九〇〇台の車が収容できるため、平日は余裕で駐車できるのだが、今日は休日なのでさすがに満車だった。

「ちょっと待たないといけないな」

田中さんがゲートの前で列をつくる車を見て言った。

「あたしは大丈夫ですけど……田中さんは、待つのはイヤな方ですか?」

すると、田中さんは、

「基本的にはイヤな方だけど、今はそうでもないかな。きみのことをあれこれ聞ける、貴重な時間になりそうだ」

と言って、にやりと笑った。

……うーん、余裕だ。やっぱ恋愛偏差値高そう。

「それに……最初が肝心だと思うからさ。
だから『田中さん』はやめてくれない?」

……はい?

「おれも、きみのお姉さんを呼ぶみたいに『水野』なんて言いたくないしね」

……はぁ。

「で……おれのこと、なんて呼んでくれるの?」

いたずらっ子の顔して、にやにや笑っている。


……え、えーっと。

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