お見合いだけど、恋することからはじめよう
本来ならば、大歓迎するところなのだが。
いかんせん「今までなにもしてきていない人」である。
大切な住所録のデータをふっ飛ばしたのを皮切りに、プリンターで出力する際に枚数の桁を間違えて大量排出、コピーをとればソートを設定せず、ファイリングでは穴あけパンチでとじしろを穴ぼこだらけにした上に、ファイルのタイトルを確認することなく手当たり次第に綴じていた。
……もう、ため息しか出ない。
しかも、大橋さんは悪気があってやってるわけではないみたいなので、却ってタチが悪い。
なので……仕方なく。
あたしのPCに彼女が入力する前のデータをバックアップしてあったので、初めから入力し直す。
大量排出された用紙は、全社挙げての経費削減の折、島村室長に見つかる前に「リサイクル」の箱へ、そ…っと入れておく。
ソート設定せずにコピーされた資料は、会議が始まるまでに速攻であたし一人の「人力」によって並べて揃えて、マックスのステープラー「商品名ホッチキス」で一部ずつぱっちんぱっちん留めていく。(コピー機にはステープル機能まで付いてるというのに…ううっ)
とじしろが穴ぼこだらけになった用紙には目をつぶって、とにかく「正しい」ファイルにファイリングしていった。
午前の業務が終わる頃には、あたしはすっかり、ぐったりと疲れていた。