お見合いだけど、恋することからはじめよう

こんな時間からめんどくさいこと限りなし、だったが、あたしはユニクロからこの前諒くんとのデートで着た服に着替えて、崩れかけたメイクをしっかり直した。

千夏が美人ですらりとしたいいオンナなので、「落差」はなるべく小さい方が望ましい。
それに、女子会とはいえ、いや「女子会」だからこそ、ヘタなものは着られないし、メイクもおざなりにはできないものなのだ。

ま、その辺の居酒屋だったら、もうちょいテキトーでいいんだけれども、LINEで送られてきたのがそこそこ小洒落たイタリアンのバールだったのだ。

……どうせ、今週末も諒くんとのデートは「お預け」なのだから、たまには夜遅くまで女同士で呑むのもいいか。それに「お見合い」のことを報告しなくちゃなんないしね。


西麻布寄りのそのお店には、タクシーで十分程度で着いた。

タクシーの中で【もうすぐ着くから】とLINEを送ったら、めずらしくお店の前で千夏が待っていた。

「……ひさしぶり、ななみん」

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