お見合いだけど、恋することからはじめよう
「……どうぞ、ネグローニでございます」
金髪で左耳にダイヤのピアスのバーテンダーが、すーっとグラスを差し出す。
「あ、あぁ……ありがとう」
不意をつかれて、目黒先輩の声が少し上擦る。
すると、バーテンダーがあたしの方を向いて、
「その綺麗な紫色のネックレス、素敵ですね。
よくお似合いですよ」
満面の笑みで、あたしの首元で輝くアメシストを褒めてくれた。それは「この子、まだ未成年じゃないの?」と思うほど少年っぽさが残る、純心さに満ちあふれた笑顔だった。
目黒先輩が「なんだ、こいつ?」と訝った目でバーテンダーを見上げる。
……アメシストのネックレス。
その瞬間、あたしはハッと我に返った。