お見合いだけど、恋することからはじめよう
五人分のコーヒーが入ったステンレスのポットを抱えて、あたしは小会議室に入った。
入り口の脇にあるマホガニー調のカップボードから五組のカップとソーサーを取り出し、サイドテーブルでセットして、ポットのコーヒーを注ぐ。
ラウンドされたテーブルには副社長をはじめとする五人の男性が席に着いていた。
すでに会議は始まっていて、だれもがPCやタブレットを操作しながら発言している。完全ペーパーレスだ。
あたしは議事進行の妨げにならないように留意しつつ、小声で「失礼いたします」と言いながら、まずは「社外取締役」に就任される朝比奈氏の脇にカップを置く。粗相は絶対にあってはならないのはもちろん、たとえ会議の内容が耳に入ってきたとしても、意識の外に置く。
「……ありがとう」
少しくぐもりがちの低い声が返ってきた。
ふと、お顔を拝見すると、
……うっわー、めちゃくちゃ若いじゃんっ!
三十歳の副社長と同じくらいに見える。
日本を代表するメガバンクの執行役員なんて、定年前後のじじい……もとい「ご年配」の方だとばかり思っていたので、すっごく驚いた。
しかも。
……うっわー、島村室長系の「和風イケメン」じゃーんっ!
彩乃さんの遠縁と言ってたけれど、ハーフか?クォーターか?と見紛う彼女とは似てないが、さすがは美形の一族だなぁ、と思った。