お見合いだけど、恋することからはじめよう

実は、そもそもあたしの博多弁は今の若い人が遣う言葉とは異なる。

小学生のとき、父の転勤で東京から福岡に移った際、言葉の違いでいじめられはしなかったものの、それでも級友たちとはなんだか「壁」があるような気がした。

だから、なかなか打ち解けることができず、学校にいる間は話すけれども、休日まで一緒に過ごすような友達はいなかった。

だけど、それではやっぱり寂しいので、なんとか言葉をマスターしたいと思った。

だが、ネイティブの父は毎晩日付の変わる頃に帰り休日もなく働いていたため、顔を見る機会すらほとんどなかった。(それに、長浜の屋台のラーメン屋の店主以外とは筑後弁をしゃべらなかったし。)母に至っては、生粋の東京生まれの東京育ちである。

そこで、あたしは休みになると一人西鉄に乗って、柳川に住む祖父母のところへ出かけ、彼らと話すことでこの地の言葉を身につけていったのだ。

なので、博多弁というよりも筑後弁っぽいし、より多く会話していた祖母の言葉遣いの影響が大きい。

男ばかりの三兄弟のうちの長男であるあたしの父は、幼い頃「母親に叱られる声」が世界で一番恐ろしかったそうだ。そして、どうやらあたしの声は祖母譲りらしい。

職場では(たぶん)鬼のように厳しくて恐れられているであろう父が、あたしの機嫌を損ねた声を聞くと、ビクッとしてすぐ(なだ)めにかかるのは、そのためだと思う。

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