お見合いだけど、恋することからはじめよう

「……諒くんとのお見合い初日に、
『あたしとお見合いするのは、出世のためですか?もし、そうなら、あたしなんかより、同じ官僚の姉の方がいいですよ?』っち訊いたとや」

すると、赤木さんの顔が、
「おまえ、見合い初日に相手にそがんこつ訊いたんか?」というふうにギョッとなった。

「ばってん諒くんは、
『別にきみのお父さんに頼らなくてもさ。
……それこそ、おれなら、「自力」で出世できるからね。だから、きみは、そんな余計な心配はしなくていいよ』っち、答えてくれたけん……」

初めて諒くんと会った、あのお見合いの席でのことが、ありありと甦ってきた。

「やけん、あたしが諒くんに、
『たとえお見合いであっても、やっぱり好きになった人と結婚したいんですっ!そして、結婚したからには、あたし一人を愛してもらって幸せになりたいんですっ!!』っち言うたら……」

あたしの顔に、ふっくらとした穏やかな笑みが広がっていく。

「『どこの世界に妻に愛されたくない男がいるっていうのさ?もちろん、おれだって結婚したからには、きみのお父さんみたいに妻一人を愛して、幸せにするつもりだぜ』っち、諒くんば言うて……」

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