お見合いだけど、恋することからはじめよう

みんなの分のコーヒーを淹れ、奥のソファセットへ持っていく。

どういう経緯かまーったく見えないが、本名が「誓子」さんであるらしい、源氏名(ではないらしいけど)誠子さんの話を聞くスタンバイはOKだ。

もう、今日は(ほんとはダメだけど)仕事どころではない。とりあえず、明日の会議の資料だけはバッチリだ。


「……で、どうして『誓子さん』だったのに『誠子さん』なんですか?」

思わず身を乗り出して訊いてしまう。

「何回もお見合いしたけど、全然決まらなくて。母親が『名前が悪いんじゃないか』って言い出して、姓名判断でみてもらったら十六画がいいってことで今の名前をつけてもらったの。
それに『誓う』って漢字なのになかなか『ちかこ』って読んでもらえなかったし、変えてみてもいいかな、って思って」

誓子さんはふうーっとため息をついた。

「でも……結局、なぁーんにも変わらなかったわ」

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