一円玉の恋
一円玉のお出かけ
あれから、何度か不動産屋に足を運ぶが、なかなかいい物件には巡りあえない。
どうしよう、困ったなぁ。
就活もまずまずといったところか、どっちか早く決まってくれると気持ち的に楽になるんだけどなぁ。と、今日はバイトが休みだったので、早めに帰り夕食の準備。

今日は時間があるから、煮込みハンバーグでもと玉ねぎをタンッタンッと細かく細かく切ってフライパンに油を引いて炒めてく。
合挽き肉にはナツメグ入れて胡椒をフリフリ、お醤油とお酒を入れて、卵と牛乳、パン粉に炒めて冷ました玉ねぎ入れて、ゴネゴネゴネゴネ。
いやぁ、食事に困らなくなって山神崇にそこは感謝です。と、機嫌良くやってると、
「今日の晩御飯ってなに?」と、山神崇が声をかけて来た。
「あっ煮込みハンバーグですよ。」と、満面の笑みで答えると、

「ふーん。そういうのも作れるんだね。普段豆苗ともやししか食べないのに?」

と、ニヤリと嫌味を入れてくるので、ジトッと睨んで「作れます。」と、強調して言った。
それを、面白がりながら、

「へえー。でも残念だなぁ。これから俺、外に行くんだよね。帰りも遅くなるし。あっ、でも食べたいからさ。俺の分は残して置いてよ。あと、明後日ってバイト無いって言ってたよね?ちょっと付き合って欲しい所があるから、予定入れないでね。じゃあ、行ってくるね。」

と、矢継ぎ早に言って、玄関の方に向かって行った。
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