一円玉の恋
一円玉のイタズラ
私はしがない大学生、今日も一日頑張りました。
就職活動に明け暮れながら、今日も一日頑張りました。

ここんところ、夜遅くのシフトだから、ちょっと寝不足気味。
あ〜でも帰ってレポートやらないと。履歴書も書かなきゃ。
あ〜早く内定決まらないかなぁ。
結構、周りの子は就職決まってるみたいだし、いいなぁ〜。
自分は何がダメなんだろう。
こう決まらないと、社会に必要とされてない感が起こって不安なんだよなあ。
地元帰ってもいいけど、せっかく東京に出て来たんだから、もうちょっと居たいなぁ。
などなど、考えながら、おでんの様子を見ていると。

ピロピロピロピローン、笑顔でいらっしゃいま…せ。
げえっ、何故アンタがこの時間に来るんだよ。
対応したくないなあと、バックヤードに行こうか迷っていたら、商品を持って男がレジに来た。
仕方なくお会計をし始めると、

「なんだ、居たんだね。最近見かけないから、辞めちゃったのかと思ったよ。それとも、俺の事避けてたりする?」

と、馴れ馴れしく話しかけてきた。
無視しようか迷ったが、一応お客様なので、

「たまたまこの時間帯なんです。それに、そもそも意識してません。」

と遇らう。

「あっそ。可愛い顔して、本当キツイ事言うよね。あっ、ねえ、何時に終わるの?待っててあげるよ。この辺さ、この頃頻繁に変質者が出てるみたいだから、アパートまで車で送ってあげる。」

と意味不明な笑顔で意味不明な提案をしてくる。
「結構です。お構いなく。」と断るが、
「でも、ほら。一応、女の子だし。危ないよ。」と男が食い下がってくる。

ちゃんとしたお客様には失礼な態度だけど、この男はもうどうでもいいと思って、

「慣れてるんで、大丈夫です。自転車ですし。それに、知らないおじさんには着いて行ったら駄目だって親に言われているので。」

と知らないおじさんを強調してお断りさせて頂いた。

「ふーん。」
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