カラダから、はじまる。
Secret ♯3

「あっ、おねえちゃんっ」

その夜、ひさしぶりに家で妹の姿を見た。

来月から始まる通常国会に向けて、内閣から提出される予算案や法案などの準備が大詰めで、この時期の省庁は超多忙だ。

一応、総合職(キャリア)としてバリバリ働く身としては、ほとんど家に帰る機会がなかった。


……というのは、建前で。

いや、確かに仕事が忙しいのはそうなんだけど、ほかの人に振られるはずの仕事まで一手に引き受けていたのだ。

『七瀬さん、ちょっとマジで勘弁してくださいよぉー』と、泣きを入れる山岸には悪いけど……


とうとう田中とお見合いすることになった七海とは、やっぱり……会いたくなかったから。

< 43 / 167 >

この作品をシェア

pagetop