カラダから、はじまる。

「ん……七海に教えてあげるのは、やぶさかではないんだけどさ」

手に持っていたスーパードライの缶を、軽く左右に揺らした。

……指が小刻みに震えてるの、わかんないよね?

「でもさ、それは……『わたしの』主観だからね」

そして、もう一口、スーパードライを呑む。

「……本当に結婚する気があるんだったらさ」

……ほんとに田中と結婚するつもりなの?

「中途半端な先入観なんて持たずに、まっさらな状態のまんまでお見合いに臨んで……」

……ねぇ、七海。

「あんたのそのでっかい目で、彼をしっかりと見た方がいいんじゃないの?」


わたしは十八歳のときから、あいつのことを、
……ずーっと見続けてきたんだよ?

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