カラダから、はじまる。
だが、びっくりしたのはわたしだけではなかった。父までもが「ありえない」という顔をして、鶏ミンチでつくられた華味鳥の華つくねをお鍋から箸で持ち上げたまま固まっていた。
「『なにが食べたいか』って訊かれて、アクアシティだったから、どうしても食べたくなって逆にあたしが連れて行ってあげたんだけど?」
七海はおたまで、白濁したお出汁を呑水に入れながら言った。
「だから言ったんじゃないの。諒志さんに失礼のないように、って」
母がほぉーっとため息を吐く。
「もおっ、失礼なことなんてしてないよー。
だって、田中さんは『フードパークやフードコートを侮ってた。こんなに本格的だったとは』ってびっくりしながら、豚骨ラーメンも一口餃子も『旨い、旨い』って食べてたもん」
七海は、わたしよりも数倍かわいく口を尖らせてそう言うと、華味鳥の白濁スープの中へ柚子胡椒を入れた。