触って、抱いて、もっと愛して。臆病な令嬢は貴公子の一途な熱情に蕩かされました(原題「その身体に触れたら、負け」)
「フレッドが来てくれれば俺は君との時間をもっと取れるというのに?」
「あら、あなたに私との時間を取ろうとしてくれる気があったなんて殊勝ですこと」
「もちろんだよ、俺はいつも君の事ばかり考えているからね」
「その考えている時間をお仕事に使ってくだされば、もっとたくさん私との時間を取れるのではなくて?」

 うぐ、とやりこめられたサイラスが妙な声をあげる。思わずフレッドと顔を見合わせて笑ってしまった。

「オリヴィア様、もしフレッド様があなたにお会いする時間を取れなくなるようなら、私に言ってくださいね。サイラスに鞭を振るいますから」
「ではそのときはよろしくお願いします」

 オリヴィアが苦笑まじりに首を縦に振ると、隣でフレッドが軽く咳きこんだ。どうしたのだろうと様子をうかがえば、彼が何かをこらえるように口もとに拳を当てる。

 心なしかその顔が赤い。まずいことを言っただろうか。
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