触って、抱いて、もっと愛して。臆病な令嬢は貴公子の一途な熱情に蕩かされました(原題「その身体に触れたら、負け」)
場所を移す一行に続いてダイニングを出たところで、フレッドはグレアム夫人に呼び止められた。
「フレッド様、ようこそおいでくださいました。ラッセルの……オリヴィアの父の従姉のマルヴェラ・グレアムよ。今夜はお寛ぎいただけましたかしら」
「ええ。視察前であることも忘れてゆっくりさせて頂きました」
「良かったですわ。ほとんどオリヴィアが手配したのよ。私はお客様のお相手だけ。礼を言うなら直接あの子に伝えてやってくださる?」
夫人はフレッドの耳に心持ち唇を寄せてささやいた。
「あの子、飲み過ぎたみたいだから様子を見てやってくださらない?」
晩餐会では、臨席の国王に勧められるままワインを口にしていた彼女だが、そう言えば酒には強くなかった。国王の手前、断れずに無理をしたのだろう。
「彼女は今どこに?」
「自室に戻らせたわ。侍女に案内させるわね」
「いや、場所はわかりますが。僕が行っていいんですか」
「あなたしかいないのよ。使用人は手一杯だし、私もまだ明日の準備があるの」
マルヴェラが茶目っ気たっぷりに微笑んだ。
「わかりました」
「くれぐれも、よろしくね。あの子、あなたのことは信頼しているみたいだから」
はっと、公爵夫人の顔を見返す。オリヴィアが拒否するようなことはするな、と言外に釘を刺されたと悟って、返答する声がわずかに上擦った。
「フレッド様、ようこそおいでくださいました。ラッセルの……オリヴィアの父の従姉のマルヴェラ・グレアムよ。今夜はお寛ぎいただけましたかしら」
「ええ。視察前であることも忘れてゆっくりさせて頂きました」
「良かったですわ。ほとんどオリヴィアが手配したのよ。私はお客様のお相手だけ。礼を言うなら直接あの子に伝えてやってくださる?」
夫人はフレッドの耳に心持ち唇を寄せてささやいた。
「あの子、飲み過ぎたみたいだから様子を見てやってくださらない?」
晩餐会では、臨席の国王に勧められるままワインを口にしていた彼女だが、そう言えば酒には強くなかった。国王の手前、断れずに無理をしたのだろう。
「彼女は今どこに?」
「自室に戻らせたわ。侍女に案内させるわね」
「いや、場所はわかりますが。僕が行っていいんですか」
「あなたしかいないのよ。使用人は手一杯だし、私もまだ明日の準備があるの」
マルヴェラが茶目っ気たっぷりに微笑んだ。
「わかりました」
「くれぐれも、よろしくね。あの子、あなたのことは信頼しているみたいだから」
はっと、公爵夫人の顔を見返す。オリヴィアが拒否するようなことはするな、と言外に釘を刺されたと悟って、返答する声がわずかに上擦った。