課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 心の奥底でしっかりと閉じていた蓋。
 でも今回のお見合いが、それを開けた。

 女としての自分。
 見合いを断る理由。

 この二つが合わさった末に、私はこんな無茶な行動に出たのだった。
 
 「流石の課長でも受け入れられるはずないって思ってたのにな…」

 小さな呟きが浴室に反射する。
 彼は二つ返事で快諾することはしなかったけど、突っぱねもしなかった。
 その上、こんな高級マンションに連れてきて、私はこうしてここでお風呂に浸かってる…

 「は~~~、なんでなの…」

 溜め息を吐きながらブクブクと湯船に埋まった。

 
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