課長、サインを下さい!~溺愛申請書の受理をお願いします。
 
 思ったより長湯をしてしまって少しのぼせてしまった。
 浴室から出ると、そこには課長の物と思われるスエットの上下と新品の下着が置いてある。

 「わざわざ買ってきてくれたのかしら…」
 
 パッケージから中身を取り出して身に着け、ぶかぶかのスエットは袖を折り曲げて着る。
 180㎝以上ある課長のスエットは上だけでワンピースみたいだ。
 私は湯上りで体が熱かったこともあって、下は履かずにパウダールームをでた。


 「お風呂お先にありがとうございました。」

 リビングに戻って声をかけると、ソファーに座って煙草を吸っていた課長が振り向いて固まった。

 「課長?」

 「あ、ああ。お帰り。」

 スッと目を逸らされて、何かお見苦しいものを見せてしまたのかと自分の姿を振り返る。
 そしてその理由に思い到った。

 「すみません。スッピンがお目汚しでしたね。」

 そう言うと再びこちらを向いた課長と一瞬目が合う。

 「いや、そんなことはないが…」

 「そうですか…。」

 でもやぱっり彼は私のことを見ようとはせずに目線を彷徨わせている。
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